4K 43インチ mini LED QLEDテレビ 『Samsung QN90C』 レビュー

周辺機器

今年1発目の記事は40インチ前後のテレビで現状最強だと思われるSamsungのQN90Cです。

なお、商品の枠としてはテレビですが日本では未発売でありチューナーも対応していないため、PCモニタとしての使用になります。

なぜSamsung QN90Cが最強なのか

私が40インチ前後でQN90Cが最強だと考える理由を解説したいと思います。

4Kモニターの画面サイズに関して

まず4Kテレビの画面サイズについて自論を述べたいと思います。

デスクトップのPCモニタで一般的に使用されるFullHDのモニターサイズは24インチで、一回り小さい場合は21インチになります。ラップトップパソコンに場合は13インチを真ん中として11インチや15インチのものもありますが、デスクトップとして利用するには小さすぎると思います。

ここで、24インチと21インチのdpi(dots per inch)は24インチが91dpiで21インチが104dpiになります。dpiの値は大きくなるほどインチに対するドットの数が多くなるため、見づらくなります。

因みに私は画面サイズに対して情報量が少ないため選択肢にはしないFullHD 27インチは82dpiになります。

続いてWQHDサイズについても考えます。一般的に使用されているものは小さい方で27インチ、大きい方で32インチになりますが、この場合のdpiは27インチが108dpi、32インチが91dpiになります。

私は以前27インチのWQHDを使用したことがありますが、Windowsのスケーリングを100%で使う際に丁度よいサイズだと感じたので、dpiの上限は108dpiとします。

さて、本題の4Kモニタの画面サイズですが、デスクトップPC用で見かける32インチのものは137dpiになります。

映像美を楽しむ場合にはそれでも良いのかもしれませんが、モニタに沢山の情報を表示しておきたい人の場合は32インチの4Kモニタは小さすぎて文字が読みにくいため、Windowsのスケーリングを125%や150%で表示することになるので無駄になります。

そこで丁度よい4Kモニタの画面サイズについてdpiの視点から考えると、40インチは110dpi、42インチは105dpi、43インチは102dpi、48インチは92dpiになります。

因みにこのテレビを入れ替える前に私がメインで使用していたものはLGの55NANO91JNAになりますが、こちらの画面サイズは55インチで80dpiとなります。55インチをメインモニタとして使用する場合、画面からある程度の距離が必要になるため大きめのものを買いましたが、悪くないサイズ感ではあるものの少し大きすぎたとも感じています。ただ、次に55インチを買うのであれば5Kの55インチが丁度良いと思っています。

従って、4Kモニタのベストサイズは42/43インチが下限で48インチがFullHDの24インチと同じ程度、55インチはFullHDの27インチと同じ程度の文字サイズになります。

OLED/mini LED/QLED/QD-OLEDとは

続いてモニタパネルの種類について簡単に纏めたいと思います。

現在モニタパネルに使用されているものは従来からあるLCD(液晶モニタ)かOLED(有機EL)です。プラズマテレビは負けました。

それぞれの色の表現方法に関して簡単に説明すると、LCDはバックライトを点灯させてその光をRGBのフィルタに通すことで色を表現することに対して、OLEDは有機ELの素子それ自体がRGBの何れかに光り色を表現します。

mini LEDはLCDのバックライトを細かく並べたもので、ローカルディミングという機能によって表示する映像に合わせて制御するものになります。Micro LEDと似ていますが、Micro LEDはすべてのRGBピクセルをフィルタを使わずに個別に光らせることを指しています。

mini LEDは黒を表示する場合はその後ろのバックライトを光らせないことにより、これまでのLCDとは違いOLEDのような黒を表現することが出来ます。

QLEDとQD-OLEDは量子ドット(quantum dot)と呼ばれるものを使用したもので、量子ドットは高輝度で高い色純度の光を生成させることの出来る粒子です。

LCDに量子ドットを用いたものがQLEDでOLEDに量子ドットを用いたものがQD-OLEDになります。量子ドットの使い方は各社違いはありますが、従来のものに比べて輝度があがったと考えておけば良いです。

パネルの選定

続いて現状最強のパネルについて考えたいと思います。

まず、OLEDのデメリットについて考えたいと思います。

1つ目に焼付き問題ですが、これは有機EL素子が劣化し、光量が低下することで発生します。

ただし、メーカーも様々な焼付き対策は行っていますし、2018年以降のパネルでは使用頻度の高い赤色の画素面積が大きくなり赤色の負荷を下げるようになっているので、それ以前のパネルの焼付きを撮影した画像は参考にならないことに注意してください。

また、他の問題として、OLEDはもともと光量が少なく明るい画面を表示することが苦手でした。

LGはこの問題の解決策としてRGBにWを足したRGBWで製品化していますが、Wが増えることで文字がボヤけるテキストフリンジが発生しやすくなると言われています。

こちらに関しては最近ではあまり聞かないため、ある程度は改善できているのだと思います。

更に2022年にOLEDに量子ドットを追加したQD-OLEDがSamsungから登場したため、LGが1強体制に胡座をかけなくなりパネルの性能が向上しました。

また、OLEDの輝度が上昇したということは、従来と同じ明るさで使用した場合の耐久性能が上がることにつながるため、より焼付きに関しての懸念は下がるかと思います。

ただし、仕組み上焼付きは発生するものであるため、消耗品だと割り切って使用することが大切だと思います。

以上のことから、今OLEDを購入するのであればLGの2023年モデルのOLED.METAパネルかSamsungの2023年モデルの第2世代QD-OLEDパネルが良いと思います。

次にmini LEDのデメリットについてですが、最新の技術のため価格が高いことが挙げられます。また、各テレビメーカーを見てもOLEDより上位モデルとしてmini LEDが設定されており、もちろん全機能入りになるため、不要な機能も入って高くなります。更に、最上位モデルは大型テレビから順に登場するため、40インチ程度のものは基本的にロースペック帯になります。

テレビをPCモニタとして使う場合は、基本的には日本メーカーはオススメ出来ません。これは不要なチューナーがついて来たり、使用しないテレビ機能でしか差別化が出来ないためです。基本的にパネルの生産元は有名どころであればLGかSamsungであるため、パネルメーカーから出ているものを買うか、価格を抑えているものを売りにしているものを購入するべきです。

また、LCDにも種類があり、TN、VA、IPSなど一度は聞いたことがあると思います。

一般的にTNはコストが安く応答速度が速いが視野角が狭く、VAは遮光性が高いが応答速度が遅く視野角が僅かに狭く、IPSは視野角が広いものの応答速度が遅く遮蔽性が低くコストが高いと言われています。

因みにIPSという名称はLG以外は使用できないため、同じ方式でも別の名称で呼ばれることもあります。

また、mini LEDは画面の画素数よりバックライトの分割数が少ないため、ブルーミングと呼ばれる、光輪が見える現象が少なからず発生します。VAパネルは仕組み上遮蔽性が高いため、mini LEDと相性が良く、IPSパネルは遮蔽性が低いため相性は悪くなります。

そのため、同じ分割数であればVAパネルのほうがIPSより引き締まった黒を表現でき、IPSパネルで同等の性能を発揮するためにはより細かい分割数にする必要があります。

リフレッシュレートに関して

今回テレビを買い替える理由は、今まで55インチ 120Hzで1枚環境だったところから、27インチのWQHD 240Hzとのデュアルモニタに切り替えることにしたためです。

机のサイズ上55インチと27インチの共存は不可能なので一回り小さいものを買いますが、ゲームには使用しないため120Hzが必須ではありません。

もし、テレビを1台買う予定でPCではなくてもPS5などでゲームをする予定であれば、ゲーミングテレビと言われる高リフレッシュレート対応のものを買うことをおすすめします。

Samsung QN90Cとその他の選択肢

Samsung QN90C

Samsung QN90CはQLED mini LED 4Kテレビであり、サイズ展開は43インチ、50インチ、55インチ、65インチ、75インチ、85インチになります。このうち、43インチと50インチはVAパネルで最高144Hzに対応し、それ以外はADS(≒IPS)パネルで最高120Hzに対応します。

QLEDのためピーク輝度が高く、視野角も問題ありません。mini LEDの照明ゾーン数は720と多くはありませんが、43インチはVAパネルのため黒の表現時の相性が良いです。

最近のテレビのトレンドに沿うようにゲームモードが存在し、ブラックブースター等の機能も存在します。

また、パネルメーカーの直売モデルのため、商品自体の価格は安い部類になります。

私が思うこのテレビの唯一の欠点は日本で販売されていないため輸入するしか無いことです。

LG OLED42C3PJA

LGから発売されているOLED42C3PJAになります。従来モデルはOLED42C2PJAがあります。

2023年度のLGパネルはOLED.META(EVO gen3)で、2022年度のLGパネルはOLED.EX(EVO gen2)です。ただし、OLED42C3PJAの商品ページにOLED.METAのポイントであるマイクロレンズアレイの記載が無いため、使用されているパネルはOLED.EXの方だと思います。

現状42インチのOLEDを供給しているのはLGのみとなるので、日本のテレビメーカーの42インチもLGのパネルを使用したものになります。付加価値としてのスピーカーや画質チューニングなどのソフトウェア面の調整などが必要なければ、パネルメーカーのモデルを購入することをおすすめします。

また、場合によっては他社への供給は1年落ちのパネルである可能性もあるので、パネルの種類が気になる方は良く調べたほうが良いです。

因みにOLED42C2PJAの方はAmazonで11万円程度で購入できます。

OLED42C3PJAの方は価格comで見る限り16万円くらいします。

TCL C845

TCLから販売されているC845はQLEDとmini LEDを採用した55インチ/65インチのモデルになり、従来モデルはC825/835があります。

従来モデルのC835は調光ゾーン数は55インチで240で、価格が10万円程度です。

C845の調光ゾーン数は480と2倍に増えていますが、価格は14万円程度します。

VAパネルのため黒の表現は良いと思います。倍速120Hz / 4K VRR 144Hz / DLG 240Hzと書かれていますが、DLG(Dual Line Gate)とは横のラインの表示を半分にして、通常のフレームと補完フレームを交互に表示させることでフレームレートを向上させたように見せるものらしいので、調べた限り240Hzで入力は出来ないようでなんちゃって240Hzだと思っています。

参考リンク

また、C845はチューナーレス使用になっています。

TCL C745

こちらはTCLのQLEDテレビになり、サイズ展開は55インチ、65インチ、75インチです。

mini LEDは搭載しておらず、倍速120Hz / 4K VRR 144Hz / DLG 240Hzでチューナーレスになります。パネルはVAなのでIPSよりは落ち着いた黒になります。

価格は10万円弱なのでこちらを買うかTCL C835を買うかになると思います。

格安テレビについて (例:TCL C645/C646/P745/P63H)

その他下位モデルについて、C645/C646は量子ドット4K VRR 60Hz / DLG 120Hz対応、P745は4K VRR 60Hzのみですが、4K 43インチの展開をしています。

43C645は6.3万円、43C646は5.6万円、43P745は5.3万円程度なので、mini LEDが不要で60Hzで問題ないのであれば、こちらも十分選択肢としてはありだと思います。

なお、末尾6はAmazon専用モデルで末尾5はその他の家電量販店モデルですが、本体カラーが異なり、末尾6はスピーカーが16Wに対し末尾5は20Wです。

上記の3モデルはチューナー付きモデルで、43P63Hは更にチューナーレスになって最安モデルで4.5万円程度です。

ただ、ここまで性能を落とすのであればテレビである必要が無いので、JAPANNEXTのモニタでいいと思います。

Samsung QN90C 購入方法など

続いてSamsung QN90Cを購入方法について記載します。

日本に発送してくれる場所であればどこでも良いですが、amazon.comなどでは基本的に発送してもらえません。転送サービスを使う手もありますが、商品サイズが非常に大きく価格が高いためあまりオススメできません。

そこでアメリカのECであるB&Hをオススメします。B&Hはもともと写真機材系の販売サイトですが、家電製品も取り扱っており、海外への発送が可能です。昔はグラフィックカードの個人輸入などで話題になることもあったので、聞いたことがある方もいると思います。

Samsung Neo QLED QN90C 43″ 4K HDR Smart TV

私が購入した際の商品本体の金額は$997.99で送料は$140.00で関税は$117.55でした。従って支払金額は$1,255.54と決して安い金額ではありませんが、現状最強のテレビなので良しとしました。円安が厳しい……。

なお注文してから5日で到着しました。流石DHLエクスプレスですね。

Samsung QN90C レビュー

開封の儀

自室にこの大きさの荷物を広げるスペースが無いためリビングでパシャリ。

付属品はマニュアルとテレビスタンド、電源ケーブルとリモコンです。

スタンドは横の一番長い部分が52cmで奥行きが18cm+5cm弱です。電源プラグはAタイプで日本と同じためそのまま使用可能です。電圧の問題もありません。

本体は軽量化のためかプラスチック外装ですが、ヘアライン加工のような見た目をしており、VESAマウントは200x200mmに対応しています。

背面端子はHDMI 2.1が4端子とUSB端子が2つ、その他LANやアンテナなどの接続端子がありますが、日本では使用できません。

スタンドはネジで固定するタイプです。このサイズの画面になるとはめ込むだけではなくネジでの固定が必要になります。

実際に組み立てた場合の背面は下のようになります。後ろに映っているものはLGの55インチテレビになります。

標準状態での色味はややビビットカラーになります。そのため、ここから好みの色味に調整していく必要があります。

私は色の正確さなどを測定するための機器を所有していなためそちらの検証は省きますが、海外ではメジャーなテレビなので、気になる方は調べてみてください。

mini LEDのlocal dimmingについて

local dimmingのテストにはYoutubeの動画を使用します。

私の撮影環境があまり良くないためあくまで参考程度にご確認ください。

動画を見れば分かるように、小さい円の際にやや映像が暗くなります。ただし、映像で見えなくなっているのはフレームレートが原因であるため、映像ほど円が見えなくなることはなく、白丸自体はしっかり視認可能です。

画面サイズが大きいためか、ブルーミングの影響も少ないです。

以上、Samsungの43インチ QLED mini LEDテレビ『QN90C』の紹介でした。

Samsungのテレビは日本に参入していないため、購入に関してのハードルは高いですが、43インチmini LEDでは現状唯一の商品になります。

ただし、Samsungのパネルを使用した日本メーカーのテレビが今後発売される可能性は十分あるので、輸入に断念した方はアンテナを張っておけば幸せになれるかもしれません。

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